Pythonのデータ分析では、Jupyter, NumPy, pandas, Matplotlib, scikit-learnといったライブラリが有名です。これらのライブラリについての学習におすすめな良書として「Pythonデータサイエンスハンドブック」を紹介します。
Contents
Pythonデータサイエンスハンドブック
データサイエンスとは、統計学のスキル、コンピュータサイエンスのスキル、データの対象分野の専門知識が重なりあって成り立つ技術領域で、広範な知識・経験を必要とします。
Pythonでは、データサイエンスを扱うための様々なライブラリとして「Jupyter」「NumPy」「pandas」「Matplotlib」「scikit-learn」といったライブラリが有名で、非常によく使用されています。
これらのライブラリを学ぶための書籍として非常におすすめできるのが「Pythonデータサイエンスハンドブック」です。日本語版の初版は2018年に出版されており、なかなか新しい版が出ていませんでしたが2024年2月に第2版が出版されています。
この記事では、本書籍のおすすめできる点などについて紹介していきたいと思います。
目次と概要
Pythonデータサイエンスハンドブックは、Ⅰ部からⅤ部までの構成となっています。各部の概要について簡単に紹介します。
Ⅰ部:Jupyter:Pythonより優れたPython
IPythonとJupyterについて学びます。IPythonは強力な拡張機能を持つPythonのインタプリタで、JupyterはWebベースでIPythonを利用できる環境です。Jupyterは、IPythonだけでなく、RやJuliaなどもサポートしています。
Ⅱ部:NumPyの基礎
NumPyは、Pythonの数値計算ライブラリで、大規模な数値演算を効率的に処理することができます。これはNumPyの多くの処理がC言語で実装されているためです。ここでは、NumPyの基本機能を習得することができます。
Ⅲ部:pandasによるデータ操作
pandasは、データのラベル付けや欠損値処理などデータ処理を柔軟に行えるライブラリです。pandasでデータの前処理をしてから、NumPy配列へ変換して効率的に処理するというのが代表的なデータ分析の流れの一つです。
Ⅳ部:Matplotlibによる可視化
データの可視化によって、新しい知見を引き出す方法を学びます。豊富な使用例を通じて、効果的な可視化技術を身につけることができます。
Ⅴ部:機械学習
scikit-learnを使って機械学習の基本概念やデータ表現、APIの使い方を理解し、機械学習の実践的なスキルを習得することができます。
Pythonデータサイエンスハンドブックのおすすめポイント
ここからは、Pythonデータサイエンスハンドブックのおすすめポイントについて紹介していきます。
データサイエンスの広範な分野に触れることができる
本書は、Jupyter, NumPy, pandas, Matplotlib, scikit-learnといったデータサイエンスで非常によく使われるPythonライブラリを扱っています。そのため、この1冊でデータサイエンスの全体像を学ぶことができるというのが特徴です。
既に各種ライブラリについて知識や経験がある人でも、手元に置いておくと非常に役に立つと思います。
各種ライブラリについてしっかりと学ぶことができる
各種ライブラリについてしっかりと学びたい人に非常におすすめできます。
NumPy
NumPyについては、NumPy配列(ndarray
)とPython組み込みのリスト構造の違いにも触れられており、NumPyが大量のデータ解析に適していることがよく分かります。
また、ユニバーサル関数、ブロードキャスト、ファンシーインデックスといった特徴的な内容についてもしっかり説明がされているため、NumPyについてはこの書籍で基本的な内容は十分カバーできます。
pandas
pandasは、Series
やDataFrame
、Index
といった重要なデータ構造から、欠損値の扱いを含めた各種データ操作について幅広く扱われており、基本的な内容を十分に理解できる内容となっています。
Matplotlib
Matplotlibは、非常に豊富なサンプルを見ながら学ぶことができます。近年他にも多くの可視化ツールが登場しているため、Matplotlibは昔風のツールと感じられることがありますが、クロスプラットフォームで動作するMatplotlibについて学んでおくことは有益であると思います。
scikit-learn
scikit-learnを用いた機械学習については、「ナイーブベイズ分類」「線形回帰」「サポートベクターマシン」「決定木とランダムフォレスト」「主成分分析」「多様体学習」「k平均法クラスタリング」「ガウス混合モデル」「カーネル密度推定」といった伝統的な各種手法について使い方をしっかりと学ぶことができます。
また、機械学習のベースとなる概念、考え方についても説明があるため、機械学習についてしっかりと理解したい人におすすめできます。
Pythonデータサイエンスハンドブックでカバーされない範囲
Python自体についての説明はない
Pythonデータサイエンスハンドブックは、Python自体については理解していることが前提です。そのため、Pythonを全く知らない人にはおすすめできません。
Python言語の基本から勉強したい人は、以下のような書籍で勉強してからPythonデータサイエンスハンドブックを読むことをおすすめします。
ディープラーニングについての説明はない
データサイエンスに興味がある方には、ディープラーニングに興味を持っている方も多いと思います。Pythonデータサイエンスハンドブックでは、ディープラーニングに特化した内容は扱っていないので注意してください。
ディープラーニングについて学びたい人は、以下のような書籍を参考にしてください。
まとめ
データサイエンスの分野では、Jupyter、NumPy、pandas、Matplotlib、scikit-learnといったライブラリは非常に重要で欠かせないものとなっています。
「Pythonデータサイエンスハンドブック」は各ライブラリの基本についてしっかりと学ぶことができる書籍で、データサイエンスに興味がある人には非常におすすめできます。ぜひ、本書を手に取ってデータサイエンスの知識・スキル向上に役立ててもらえたらなと思います。